第6章 幸せの欠片
「‥ん‥凛‥。」
ふと、日の光で目が覚めると
いつもなら隣で幸せそうに肌を寄せて
眠る凛の姿が無い事に気づき、
薄っすらと目を開く。
「どこいった‥?」
頭をポリポリと掻きながら
ゆっくりと褥から出る。
外はもう日が昇り、雲一つない快晴に
鳥のさえずりが聞こえた。
(‥照月も居ねえな。)
ふあっと一つ欠伸をして、
ふと文机の上に昨日は無かった筈の
手紙がある事に気づく。
政宗が文を開くと、そこには
凛らしい綺麗な字が綴られていた。
『政宗へ
照月は預かった。
返して欲しければ、
取り返してみるがいい。
凛』
「‥‥は?」
苦笑いを浮かべて手紙を眺めていた政宗は
ふと、もう一枚ある事に気づく。
『秀吉の御殿に向かえ』
「秀吉の‥?」
しばらく考えた後、政宗は
大きく身体を伸ばし息を吐く。
「まあ、行って考えりゃいい。」
さっさと凛と照月を
捕まえるのもいいが‥
退屈凌ぎに付き合ってやるか。