第6章 幸せの欠片
「なかなかいい策だな。」
光秀に事の経緯を説明し、
二人で、あーでもないこーでもないと
策を練り終わる頃には
夕日が落ちかける刻になっていた。
光秀が愉しげに笑うのを見て
凛もホッと一息つく。
「ふふっ。政宗喜ぶかなあ。」
今から、政宗の喜ぶ顔を想像して
頬が緩んでくる。
「時に凛、協力するのだから
褒美は出るだろうな?」
光秀の言葉にキョトンとするが、
すぐに微笑んでみせる。
「もちろん!用意しておくね!」
楽しみにしてて!と胸を張る。
「‥まあいい、楽しみにしといてやる。」
(政宗の為と言うのは面白くないが‥)
この大輪の笑顔が咲き続けるなら
それも悪くない‥と、ほくそ笑む。
「光秀さん、遅くまでごめんなさい。」
ありがとうございました、と
急にしおらしくなる凛に
光秀は目を細めて微笑んだ。
「構わん。精々、悟られぬように努めろ。」
ではな、とヒラヒラ手を振り
光秀は御殿に戻っていった。
(よし、私も用意しなきゃ。)
すでに秀吉や三成、家康にも
話は通してある。
あとは‥
光秀さんの言う通りだ‥。
(バレないようにしないと!)
少しでも異変に気づかれれば
考えた策が台無しになってしまう。
「私が一番、危ないよね‥。」
少し、心配になりながらも
凛は頬をパンっと叩き、
気合を入れる。
(絶対、楽しませてみせる!)
果たして、政宗を楽しませるこの試みは
成功するのか、否か―――。