第5章 恋敵は突然に
「凛、部屋に戻るぞ。」
確かめたい事がある、と
手を取り歩き始める謙信。
(確かめたい事?)
なんだろう?と首を傾げながら
凛は繋がれた手を
ギュッと握り返した。
部屋に入るや否や、謙信は
後ろから凛を抱きしめる。
「謙信様?‥っあ!」
ゆっくりと耳を喰まれ、
凛の鼓動が煩く跳ねる。
「ひゃあ!‥んっ‥あっ!」
ゆるゆると耳の縁を、舌でなぞられ
体中の力が抜けていく。
「謙信様っ、確かめたいって‥んっ!」
(これの事だったの‥?)
「ああ、そうだったな。」
謙信はゆっくりと口を離すと
一気に凛の着物の帯を紐解いた。
「えっ!きゃあ!」
はだけそうになる着物の
前合わせをとっさにおさえる。
「小太郎が言っていただろう?」
ボソリと呟く謙信を
凛はキョトンと仰ぎ見る。
「凛がくすぐったいのは背中だと。」
美しささえ感じるほどの
冷笑を浮かべる謙信は、
凛が掴んでいる着物を
強引に剥ぎとった。
「それはっ!‥んっ!」
謙信の指が背中を這う。
「謙信様っ!‥やめっ‥あっ!」
くすぐったいようなゾクゾクとした
刺激が凛を支配していく。
「ほう‥真のようだな。」
逃れようと身を捩る凛を
空いている方の腕で捉える。
ゆっくりと凛の耳を喰むと
次第に甘い声に変わり始める。
「あっん‥んんっ‥ふッあ‥。」
くったりと力の抜けた凛を
抱き上げ、褥の上に優しく降ろす。
「お前の声は、本当に心地が良い。」
「謙信‥様‥。」
普段の姿からは想像もできない程
女の色気を放つ凛に
ゾクゾク‥と謙信自身も猛り始める。
「‥凛、愛している。」
二色の瞳が獰猛に凛を捉え、
噛みつくように唇を塞ぐ。
「‥んっ‥んんっ、あっ」
凛も応えようと謙信の頬を
両手で包み込む。
「‥あっ、私っも、愛しています‥。」
嫉妬深いあなたに囚われて、
深い深い愛情に囚われて、
あなたがいなければ息もできない程、
この恋に‥溺れていく。
この先も、ずっと二人で‥。
end.