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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第5章 恋敵は突然に


「おい、お前凛の何だよ。」
先に火蓋を切ったのは小太郎。
宙に吊られた身体を揺らす。


「答える義理は無いな。」
謙信は掴んでいた手をパッと手を離す。

「いてっ!降ろすなら言えよ!」

「離せと言ったのはお前だろう。」


小太郎は立ち上がると謙信を睨む。
「おい!俺と勝負しろ!」
俺が勝ったら凛を寄こせ!
小太郎は声高に勝負を挑む。

「お前が負ければどうする?」

「潔く身を引いてやる!」

「いい心掛けだ。受けて立つ。」



(な、なんでこんな事に!)
自分の事なのに、自分の意図せぬところに
どんどん話が進んで行き、この状況を
どう止めたものかと頭をひねる。

(そもそも、小太郎はまだ子供だし!)
何とか止めなきゃ!と凛が
頭をフル回転させる。



「この勝負、僕が立会ましょう。」
よく通る声が響き、佐助が現れる。

「さ、佐助くん!どこから!」

木の葉が体中についている所を見ると
木の上にでも潜んでいたのだろうか。

ガサッと言う音と共に木の上から
幸村も降りてくる。

「幸村もいたの?!」
(やっぱり木の上だった!)

「おー。佐助に拉致されてた。」
寝ていたのか幸村は目をこすると
睨み合う二人を見やる。

「お前も大変だな。」
そう呟くとポンポンと凛の
頭を軽く撫でた。


「幸村、こやつの次はお前だ。」

幸村がゆっくりと振り向くと
謙信がこちらを鋭く睨んでいた。

幸村はそーっと凛の頭から
手を離し、小さく両手を上げる。

「‥あー、俺は遠慮します。」
凛から一歩横に離れると
幸村は小声で呟いた。

「おい、謙信様面倒くさすぎだろ。」

凛は、あははっと
ため息混じりに力無く笑った。

「‥でも、大好きなの。」
恥ずかしいくらいの愛情表現も、
少し行き過ぎた独占欲も、
優しく見つめてくれる二色の瞳も

全部、全部、愛おしいと思う。

「あー、そうかよ。」
聞いた俺が馬鹿だったというように
幸村はヒラヒラと手を振った。


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