• テキストサイズ

【イケメン戦国】時をかける妄想~

第3章 【R18】交差する想い


凛が思わず叫んだ。

―――その瞬間。



「そこまで!!」

よく通る声が、天守に響き
同時に秀吉と三成が押し入る。

かろうじて信長の一撃を退けた家康が
刀を握り直す。

「やめろ!家康!」
秀吉が一喝するも家康の燃えるような瞳は
まだ信長を見据えている。



「家康様、刀を収めて下さい。」
三成もいつもの微笑みは無く、
固い表情で家康の前に立つ。

「理由がどうであれ、御館様に
刀を振るうなど言語道断だ!」

家康は顔を背け、渋々刀を収める。



「‥ふん。興が削がれたわ。」
信長はつまらなそうに刀を収めた。

その様子に凛は、ほっ‥と息をついた。
家康が切られるかも知れないと感じた瞬間
全身の血液が凍る思いだった。

(無事で‥よかった。)



信長はドカッと脇息にもたれ掛かり
刀を脇に置いた。

「‥凛。」
ふいに名前を呼ばれ、心臓が跳ねる。

「‥はい。」
なるべく気持ちを落ち着かせて
静かに返事をする。



「‥もう夜伽は、終いだ。」
もう興味は無い、と言わんばかりの
瞳は相変わらず冷たかった。

その一言に心臓が大きく波打つ。

離れようとしたのは自分なのに、と
自分勝手に傷つく心に蓋をする。



「‥はい。」
溢れそうになる涙を堪えて
一言を振り絞る。

「‥家康。ここに残れ。」

顎で合図すると秀吉と三成が頷き、
そっと凛の肩を抱き
ゆっくりと立ち上がらせる。

「‥あのっ」
凛が言葉を紡ごうとするが
それより早く、信長が呟く。

「‥案ずるな。刀は振るわぬ。」
その表情はどこか柔らかかった。

信長が手をヒラヒラと振り、
秀吉と三成が凛を連れて
天守を出るのを見届けると
家康は信長に向かい合って腰を降ろした。



「‥さて、わかっているな家康。」
信長は再びニヤリと愉しげに笑った。



/ 227ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp