第3章 【R18】交差する想い
「‥力づくだと?愚の骨頂だな。」
凛を捉えていた手を離し、
信長はゆっくりと家康に向き直り
静かに刀の柄に手をかける。
(‥怖い。)
ピリピリと空気が張り詰め
凛はその場から動けずにいた。
キン‥と、静かな音を立て
信長が刀を抜く。
「‥来い、家康。」
その声を合図に家康が動いた。
―――ガキンッ!
家康の鋭い一太刀を信長は
悠々と片手で受け止めた。
「‥ほお。鍛錬は怠っていないようだな。」
そのまま刀のごと家康を振り払う。
家康は間髪入れずに
次の一太刀を放った。
「‥もうあの頃の俺じゃない‥!」
ギリギリと刃が擦れ、鍔迫り合いになる。
「‥見せてみろ。」
ギンっという甲高い音と共に
家康の刀は弾かれ、体制が崩れる。
その隙を逃さす信長が間を詰めた。
「‥‥っ!家康!」