• テキストサイズ

【イケメン戦国】時をかける妄想~

第1章 春日山城の朝は早い


「騒がしいと思えば‥幸、佐助。
姫が困っているじゃないか。」

「信玄様!おはようございます。」
振り返ると、ゆったりとした動きで
信玄がこちらに近づいてきていた。

「おはよう、姫。今日も美しいね。」
艶やかに微笑み、慣れた手つきで
凛の頬にソッと手を添える。

「そ、そんなことないです!」
途端に凛の頬が朱に染まる。

「謙遜することはないよ、姫。
姫の可愛らしい顔も、綺麗な髪も
この白い肌も全てが俺を魅力しているからね。」

ツツ‥っと信玄の手のひらが凛の
柔らかな頬を撫でる。

「し、信玄様っ!」
凛は頬を染めて身じろぐ。


「おい、首をはねられたいか信玄。」

信玄の手が首元まで降りた時、
冷ややかな声が信玄の背後から聞こえた。

凛からは大柄な信玄に隠れて
姿は見えないが、紛れもない愛しい人の声。

「‥謙信様っ!」

「凛‥俺より早く起きるな、と
あれほど言っておいたであろう‥。」

信玄は首元に当てられた懐刀を
避けるように身体を捻ると
「朝から物騒だな、お前は。
俺はただ姫へ朝の挨拶していただけだ。」

はいはい、と言わんばかりに両手を上げ
「ではな、姫。また朝餉で会おう。」

そう言って信玄はスタスタと行ってしまった。

「凛‥こちらへ来い。」
謙信は懐刀をしまい、手を差し伸べる。

「謙信様、おはようございます。」
凛は手を取り、微笑んだ。

「凛、俺が目覚める時は傍にいろ。
毎朝、信玄の首をはねるのは面倒だ。」
ふわりと凛を抱きしめる。

「謙信様‥。」
暖かい愛しい人の体温に包まれ
心まで暖かくほだされていくようだった。

スッと謙信の長い指で顎を掬われ、
「んっ‥」
柔らかな唇を喰まれる。

「まだ朝は冷える‥戻るぞ。」
名残惜しく唇が離れると、そのまま
凛を横抱きにして歩き出す。

「謙信様っ‥自分で歩けます!」

「ならぬ。お前は俺に囚われておれば良い。」
そう言うと凛の額に口づけをおとし
スタスタと部屋へ再び歩き始めた。

凛は愛しい人の愛情を胸一杯に感じ、
その腕の中で幸せそうに微笑んでいた。

(ん‥?何か忘れてるような‥)

end.
/ 227ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp