第1章 春日山城の朝は早い
【おまけ】
謙信が凛を部屋に連れて戻っている頃。
「幸村、ストップ。」
「あ?すとっぷ?」
「止まれって意味だ。」
今だ謎の攻防を繰り広げていた二人は
中庭にある木の上にいた。
「いつの間にか謙信様が来たようだ。」
目線で幸村を促す。
先ほどまで凛がいた縁側には
もう誰の姿もない。
「あ‥くそ。佐助のせいで朝から無駄な
体力使っちまったじゃねーか。」
「無駄ではない。おかげで試作品の
マキビシの修正点も見つかったし。」
「俺は実験台か!」
「これにてドロン。」
ブワッとその場に煙幕が広がる。
「うわっ!‥ごほっ」
辺りは煙に包まれ、視界が晴れる頃には
佐助の姿は無かった。
「くそ‥俺も戻るか‥。」
そう言って木から飛び降りた。
「‥っ!いっっってええーーーー!!」
「試作品のマキビシは威力上々‥と。」
縁側の屋根の上で佐助はほくそ笑んでいた。
end.