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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第3章 【R18】交差する想い


戸惑いながらも、この場所で
強く、明るく生き抜こうとしていた。

凛が笑えば陽だまりのように
周りも暖かく、明るくなる。

自分のことより、他人のことで
一生懸命になり涙を流す。

そんな凛に惹かれていった。



「‥‥好きだ、凛。」

例え、信長様でも凛を
傷付けるのは許せなかった。


「‥家康。」
初めて知った家康の想いに
戸惑いをかくせなかった。

張り詰めていた何かが
ゆっくりと溶かされていくような
そんな暖かい感覚に襲われる。


「‥俺にしとけば?」
凛の頬に家康の暖かい掌が触れる。

言葉は素っ気ないのに
頬に触れる掌は、とても優しい。

「‥俺が‥あんたを守る。」
家康の綺麗な翡翠の瞳が凛を捉え
息のかかる程の距離まで近づく。

「‥あ‥だっ」
「凛様。宜しいでしょうか。」

ダメと言おうとした瞬間、
襖の外から声がかかる。

「は、はいっ!」
凛は慌てて佇まいを直したが
邪魔をされた家康は眉根を寄せ
不満そうな顔をしている。



「信長様よりご伝言です。
今夜、天守へ来るようにとの事です。」

失礼致しますと、それだけ伝えて
家臣の人が去っていく気配がした。

(相変わらず返事は聞かないんだな‥)
ちらりと家康を盗み見ると、
眉根を寄せたまま襖の方を睨んでいる。


「‥家康。」
なるべく声音を落ち着かせて
そっと話しかける。


「‥私ね、今日で最後にしようと思ってたの。」
小さく震える手を胸の前で組み
自分を落ち着かせるように言葉を紡ぐ。

「‥だから今夜、信長様と話してくる。」

本当は怖かった。
居場所が無くなりそうで。
誰にも必要とされなくなるんじゃ
ないかって、不安だった。

「ありがとう、家康。」
私に勇気をくれて。

「‥凛。」
ふわりと微笑むその表情は
久々に見た陽だまりのような笑顔。

家康は無意識に凛を抱きしめた。
凛の小さく、華奢なその身体を
抱きしめる腕に力を込める。

「‥待ってるから。」
帰ってきたら返事聞かせて、と
なにかを堪えるように呟く。


(ありがとう‥家康‥)
家康の暖かい体温に包まれて
凛の頬を涙が伝っていった。


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