第13章 俺の相棒【刀剣乱舞コラボ】
「‥戦‥か。」
気持ちの良い日差しを浴びながら
中庭を望む縁側に座り、
足を投げ出す凛。
三成に声を掛け、お茶を出して
さながら軍議のようになった部屋を
後にした凛は気づけばここに来ていた。
何気なく見ていた足元に
フッと影が落ちる。
「‥何してんの?」
「‥家康。」
声のする方を仰ぎ見ると
綺麗な翡翠の瞳と目が合う。
「‥暇なら手伝ってくれない?」
バサッと音を立てて凛の
膝に書簡の束を落す。
「きゃ!ちょっと、家康!」
返事をする前に先を歩き始めた家康を
凛は急いで追いかけた。
「座ってていいよ。」
安土城内にある薬剤庫に着くと
持っていた荷物と書簡を机に置いて
テキパキと棚に整理し始める家康。
部屋の中は、ほんのりと
薬草の香りがしていて
少しだけ気分が落ち着いた。
「‥家康も戦に行くの?」
書簡をまとめながら凛が呟く。
「行くよ。当たり前でしょ。」
家康は手を止めずに答える。
「怖くないの?」
人間じゃないんだよ?と
凛が恐る恐る尋ねた。
「相手が何だろうと関係ない。」
それに、と家康が手を止めて振り返る。
「あんたを渡すわけにはいかない。」
‥煩いのが何人か居るからね、と
家康は視線を逸してぶっきら棒に呟いた。
「‥あんたはいつも通りに笑ってれば?」
家康は、再び書簡に視線を落とし
静かに棚に収めていく。
「家康、ありがとう。」
皆が、大事な人達が傷つくのは嫌だ。
――――でも
それぞれの大切な物を守る為、
それぞれの思いや信念を守る為。
人は自分の身を盾に戦うのだろう。
「私も私にできる事、頑張るね。」
よしっ、と気合を入れ直して
荷物を解き、整理を始める。
「‥頑張らなくてもいいけど。」
あんた、すぐ捕まるし‥と
家康がフッと笑った。
「そんな事ないよ!」
「‥どうだかね。」