第13章 俺の相棒【刀剣乱舞コラボ】
「秀吉様、いらっしゃいますか?」
襖の向こうから一期一振の
柔らかい声が聞こえる。
「おう、入れ。」
「失礼致します。」
静かに襖を開き、一礼してから
一期一振に続き薬研が入ってくる。
「凛殿もいらっしゃいましたか。」
おはようございます、と一期が微笑む。
「おはようございます。」
あ、私は席を外しますね、と凛が
立ち上がりかけるのを薬研が止めた。
「いや、ここに居てくれ。」
あんたにも関係ある事だからな、と
薬研に言われ凛がそろそろと
立ち上がりかけた腰を下ろす。
「何かわかったのか?」
「ええ。ご報告が。」
一期がきっちりと正座する横に
薬研も腰を下ろした。
「なるほどな‥。」
秀吉が何度か頷き、横目で凛を見る。
凛は正座した膝の上に両手を重ね
真っ直ぐに一期と薬研を見つめていた。
小さく震える凛の手に
そっと自分の手を添えると
ハッとしたように秀吉に振り向く。
「‥大丈夫か?」
「‥うん。平気だよ。」
正直に言えば、怖い。
この時代に慣れたとはいえ
戦には慣れない、慣れたくない。
誰かが傷つくのは嫌だ。
ましてや、相手は人間じゃない。
その気持ちを汲んでか、秀吉が
安心させるように微笑んで見せた。
「大丈夫だ。」
その笑顔に凛の肩の力が
ふわっと抜ける。
「安土で戦がある以上、俺達も参加する。」
御館様には俺から言っておく、と
秀吉が一期に向き直る。
「そう仰るだろうと思っておりました。」
さすが秀吉様ですな、と一期が笑う。
「ま、そうなるか。」
一期と同じように薬研も笑った。
「そうと決まれば、三成も呼んで来るか。」
作戦を立てるぞ、と秀吉が立ち上がる。
「あ、私が呼んでくるよ。」
お茶も持ってくるね、と
凛が秀吉の手を引き
代わりに立ち上がる。
「ああ、すまないな。」
ありがとう、といつものように
頭を撫でる秀吉の温かい手の平。
少し擽ったいような温かさに、
誰にも傷ついて欲しくないと願う
凛の不安が少し和らいでいった。