第13章 俺の相棒【刀剣乱舞コラボ】
何の手掛かりも掴めないまま
日が昇り、また沈んでいく。
「‥空はあんなに高いんだな‥。」
「おい!サボるな!」
居候の身で何もしないのは
申し訳ないという一期一振の提案で
刀剣達はそれぞれできる事を
安土城内で手伝っている。
「なんで僕が畑仕事なんて‥。」
宗三はブツブツ言いながらも
畑の雑草を抜いていく。
「煩い。手を動かせ。」
その隣では長谷部が鍬で
畑の空いた所を耕していく。
「‥はいはい。」
ふと、宗三が遠くから聞こえる
軽い足音に、顔を上げた。
「宗三さーん!長谷部さーん!」
休憩にしましょう、と凛が
冷えたお茶とずんだ餅を運んできた。
「そうしましょう。」
抜き掛けの雑草を放り投げ
ニコニコと宗三が立ち上がる。
「あっ!おい、こら!」
「燭台切さんの手作りです!」
すごく美味しいんですよ!と
凛は瞳を輝かせた。
燭台切は主に政宗と厨房担当となり
毎日、二人で腕を振るっている。
薬研は、家康と共に薬剤の調達、調合。
一期一振は秀吉や、三成と共に
政務の補助を行っている。
「皆さん、なんでも出来ちゃうから。」
本当ビックリです、と笑う。
「人の身を得てから驚く事ばかりですよ。」
長谷部がお茶を飲みながら答える。
「そうですね。」
宗三がずんだ餅を口に運ぶ。
「長谷部は顕現された日に寝方が分からず
僕が添い寝して差し上げたんですよ。」
「え!そうなんですか!」
「おい!宗三!」
ブッ!と飲みかけのお茶を吹きかけた
長谷部が立ち上がる。
「昔はあんなに可愛いかったのに。」
やれやれと言わんばかりに
宗三が首を振った。
「伽羅ちゃん、ここに居たんだね。」
安土城内にある鍛錬用の板張りの部屋で
一人黙々と刀を振る大倶利伽羅に
凛と同じくお茶とずんだ餅を持った
燭台切光忠が声を掛ける。
「‥馴れ合うつもりはない。」
「はいはい。」
小さな音を立ててお茶の盆を置くと
光忠が上着を脱ぐ。
「お茶の前に運動しないとね。」
手合わせをお願いするよ、と
本体である刀に手をかける。
「‥ふん。手加減はしない。」
「勿論。」
二振りが抜刀し、相対すると
チリチリと周りの空気が爆ぜる。
「長船派の祖、光忠が一振り!参る!」
「‥来い。」
刀同士の勝ち合う音が響き渡った。