第13章 俺の相棒【刀剣乱舞コラボ】
「凛殿、ご迷惑をお掛けしますな。」
「いえ!とんでもない!」
何も出来なくてすみません、と
一期一振につられて眉尻が下がる。
光秀の発案により、目処がつくまで
安土城に滞在する事になった刀剣達は
凛の案内の元、城内を巡っていた。
「あ、こっちが厨房です!」
夕餉の準備をしているのか
厨房からは良い匂いがしてくる。
「政宗!」
「おっ、来たか。」
何食わぬ顔で厨房に立つ政宗は
二カッと笑うと煮物を一つ摘み、
凛の口元に運ぶ。
「味見だ。」
「やった!‥ん、美味しい!」
さすが政宗!と嬉しそうに頬張る凛。
「政宗くん、何か手伝おうか?」
それを見ていた燭台切が、
腕を捲りながら微笑む。
「さすがは俺の刀だ。」
じゃあ、そっちの汁物を頼む、と
政宗がテキパキと指示を出す。
「OK。任せてよ。」
ほら、伽羅ちゃんも手伝って!と
燭台切が声を掛けると
大倶利伽羅が渋々といった顔で
厨房に入ってくる。
「馴れ合うつもりは無いからな。」
凛の前を大倶利伽羅が
通ったその時、桜の花弁が一枚
フワリと舞った。
「‥桜?どこから‥。」
それをみた一期一振が
フフッと微笑み凛の耳元で
こっそり囁いた。
「我々、刀剣達は嬉しい時に
桜の花弁が出てしまうんです。」
ほら、と一期一振が指で指し示した
燭台切と大倶利伽羅の足元には
ヒラヒラと桜の花弁が舞っていた。
「ふふっ、綺麗ですね。」
「なるべく抑えているのでしょうが
仕方ないですな。」
二人でクスクスと微笑み合っていると
後ろからため息混じりの声が聞こえた。
「‥はあ。あんたさ、緊張感ない訳?」
「い、家康!」
一期一振と凛の間に
割入り一期一振をジッと睨む。
「こいつらが本当にあんたを切るのを
諦めたかなんて分からないんだし。」
「大丈夫だよ、家康!」
皆、悪い人じゃないと思うから、と
凛が家康に微笑んだ。
「‥はあ。‥お人好し。」
誰に似たんだか‥と家康は
ため息混じりに呟いた。