第13章 俺の相棒【刀剣乱舞コラボ】
「‥あんたが歴史を変えたのか?」
大倶利伽羅が呟く。
「あ、うん‥。」
凛はタイムスリップした日に
燃え盛る本能寺の中、たまたま
信長を見つけ共に脱出した事を明かした。
「それって‥。」
立て続けに燭台切が口を開く。
「‥遡行軍‥ですか。」
宗三がボソリと呟く。
「‥えっ‥?」
凛は背にヒヤリとした
何かがつたうのを感じた。
「‥馬鹿な!」
凛は御館様を助け出したんだぞ!
と、秀吉が立ち上がる。
「‥しかし歴史が変わっちまった‥と。」
薬研がため息混じりに呟く。
「ならば、その女を切れば問題無いな。」
長谷部が腕を組み冷たく言い放つと、
秀吉が刀に手を掛ける。
その瞳には怒りが満ちている。
「お待ち下され、長谷部殿。」
それまで口を閉じ、考えこんでいた
一期一振が口を開いた。
「ここは、本来の歴史とは別次元です。」
なにより凛殿が遡行軍ならば
その気配にこんのすけが一番に気づく筈‥。
「それに同じタイムスリップ仲間ですぞ。」
と、ニッコリ微笑んだ。
「あー‥、悪かった。」
代わりに謝らせてくれ、と
薬研がポリポリと頭を掻く。
「どうにもあの人の前だと
殺気立っていけねえ。」
と、薬研は頭を冷やしてくると
長谷部を連れて広間を出ていった。
鋭く視線を向ける家康の隣をすり抜け
広間を出る二人を見届けると
秀吉は座り直した。
「‥凛、大丈夫か?」
「‥う、うん。大丈夫。」
まだ動悸が収まらぬ中、
広間にゆったりとした声が響く。
「つまりは、だ。」
信長の後ろに控えている光秀が
さも愉しげに喉を鳴らす。
「その遡行軍とやらが現れない限り
こちらから打つ手は無いと。」
「その通りですな。」
一期一振は微笑みを崩さない。
「ならば、御館様。」
光秀が信長に視線を向ける。
「‥フン。好きにしろ。」
それだけ言うと信長は、立ち上がり
羽織を翻して広間から去った。
「よかったな、お前たち。」
暫くは宿には困らんぞ、と
光秀はクククッと喉を鳴らした。