第13章 俺の相棒【刀剣乱舞コラボ】
「‥‥なるほどな。それで‥」
安土城へ向かう道のりを
歩きながら政宗がチラリと
後ろを振り返る。
「あのデカイ燭台切が俺に抱きついたと。」
「はい。」
政宗は腰に下げている自分の刀と、
ニコニコ後ろをついて歩く燭台切と
その隣を不機嫌そうに歩く
大倶利伽羅を見比べてフンと鼻を鳴らした。
「ま、さすがは俺の刀だな。」
身なりも良いし、顔も良いと
政宗はどこか誇らしげだ。
「ふふふ。政宗君は変わらないね。」
「‥馴れ合う気はない。」
「じゃあ、ここにいる奴らは
全員誰かの刀の付喪神ってやつなのか?」
「うん、そうみたい。」
秀吉さんの隣に居るのが一期一振さん、
と、凛が説明すると
一期一振がニッコリ微笑んだ。
「その後ろの三人は?」
「まだ聞いてないの。」
「へえ。まあ、いずれ分かるか。」
さあ、着いたぜ、と政宗が
足を止めると門の前には
見るからに不機嫌そうな家康が
立っていた。
「‥‥‥‥なに。そいつら。」
「説明は後だ。待たせたな。」
政宗が家康の肩を掴み、
半ば引き摺るように城に向かう。
「‥遅すぎ。」
「ごめんね、家康。」
あ、皆さんもどうぞと振り向くと
燭台切、大倶利伽羅の後ろを
秀吉と一期一振が入る。
その後ろで、門の前に佇み
薬研、長谷部、宗三の三人は
入るのを躊躇うように
どこか辛そうな表情をしている。
(‥もしかして)
「‥あのっ」
「ああ、今行くぜ。」
パッと薬研が言葉を制し、
長谷部と宗三の手を引いた。
「あ‥はい。」
(聞きそびれちゃった‥)
「僕はいいです‥。」
「宗三、ここは俺達の居た時代じゃない。」
大将の所に帰るまでだ、と
薬研がぶっきらぼうに手を引く。
「おい、薬研。手を離せ。」
「こりゃあ、悪い。」
薬研が長谷部の手を離すと、
フンと鼻を鳴らし白の手袋をはめ直す。
「‥主命の為だ、なんとしても帰るぞ。」
と、自分に言い聞かせるように
長谷部が眉根を寄せて先を歩き始めた。
「ああ、わかってるさ。」
「‥仕方ありませんね。」
「凛!早く来い!」
家康と政宗が同時に叫んだ声に
ハッとして凛が慌てて走り出す。
「はーい!」
薬研達は、その後ろを
ゆっくりと歩きだした。