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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第12章 二人の宝物 三章


家康が徳姫を探す為、
城下を奔走している頃――――

安土城では盛大な宴の準備が
進められていた。
広間は豪華な装飾が施され、
準備を進める臣下の者たちは
心無しか浮足立っている。

「ふんふーん。」
と、鼻歌を歌いながら台所で
女中達と料理を作る凛。

「凛様、こちらの鶏は?」

「これは衣を付けて、油の中に‥」

徳姫の大好きな鶏の唐揚げや
昆布入りのおにぎり、
たくさんの料理が出来上がっていく。

ドタドタドタ!

豪快な足音に凛が振り向くと
暖簾をくぐり、政宗が顔をだした。

「政宗っ!」
料理を女中に任せて政宗に駆け寄る。

「どうしたの?徳になにかあった?」
手拭いで手を拭きながら駆け寄ると
政宗の後ろに三成の姿もある。

「ああ、大問題だ。」
政宗がニヤリと口端をあげて
凛の肩をポンと叩く。

「凛様、おめでとうございます!」
三成は眩しい程のエンジェルスマイルを
凛に向けた。

「えっと‥?」




一方、天守では――――

一人静かに脇息にもたれて
ゆっくりと盃を傾ける信長は
襖越しに息を殺す人物に視線を投げた。

「‥猿か。何事だ。」

「‥御館様。」
失礼、と静かに襖を開け
秀吉が姿を見せる。

「‥何故仰って下さらなかったのです。」

「何の話だ?」
素知らぬ顔をして盃を傾ける信長。
忠誠心が人一倍強く、信長の右腕である
秀吉故に、誰よりも先に知りたかったと
その表情を見れば書いてある。



「‥俺は、」

「さぷらいず、だ。」
秀吉の言葉に被せるように
信長がボソリと呟く。

「‥さぷ‥?」

「二度は言わん。」

500年後の世界では他人を喜ばす時に
さぷらいずとやらをするそうだ、と
信長は秀吉から視線を外し呟く。


「‥‥。」
ポカンとしていた秀吉の表情が
段々と意味を理解したのか
霧が晴れるように、
次第に明るくなっていく。

「ではっ、御館様は‥」
俺達を喜ばそうと‥と秀吉は
グッと目頭を抑える。
その瞳には涙が滲んでいた。

その様子を見ながら
信長はフンっと鼻鳴らして
盃に残った酒を飲み干した。

「‥阿呆め。」
なあ、光秀?と、
信長が口元に笑みを浮かべると
天守の陰に身を潜めていた
光秀もクククッと喉を鳴らした。

「‥さすが御館様。」

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