第3章 【R18】交差する想い
「今宵のお前も美しいな。」
スッと大きな掌が頬に触れる。
その言葉に鼓動が一際大きく跳ねる。
(‥嬉しい。)
でも、それ以上に悲しい。
この人の心は私のものではないから。
こんなに近くにいるのに、遠い。
ふいに腕を捕まれ引き寄せられると
逞しい腕の中に捕われる。
「今宵はどうしてやろうか。」
信長がニヤリと妖しく微笑む。
頬に触れていた掌が首筋に落ち、
指先で柔らかく撫であげられると
凛がピクリと肩を震わす。
「‥信長様‥んっ」
凛が信長を見上げるのと同時に
口づけが落とされる。
「ん‥んんっ‥ふっ」
呼吸さえも許されないほど
熱く、深い口づけ。
「んっ!‥はっ‥」
息が苦しくなり、必死に藻掻くが
身体は少しも動かない。
唇が一瞬離れた瞬間、息を吸おうと
口を開けば、それを逃さず信長の
熱い舌が入り込み、歯列を犯される。
「あっ‥んんっ!」
フッと凛の身体の力が抜けるのを
横目で見やると、ヂュ‥と音を立てて
ようやく唇が離れていく。
「ふん‥甘いな。」
信長は乱暴に凛を押し倒す。
まだ息の整わない内に、再び唇が重なる。
「んっ‥ふぅ‥!」
両腕を頭の上で束ねられ身体に
信長の重みがのしかかる。
(‥い‥息が‥出来なっ‥)
その瞬間、唇に鋭い痛みが走る。
「‥っつ!‥あ‥」
唇を開放され、息を吸い込むと
口中に血の味が広がった。
ゆったりとした動作で
それを舐めあげられると
身体中に甘い痛みが広がる。
「お前はその血潮さえも甘いな。」
信長は凛の着物に手をかけ、
躊躇いなく胸元を風に晒す。
「お前の白い肌を赤く染めるのも
‥また、一興であろうな。」
ニヤリと信長の口が美しい弧を描く。
ゾクリと凛の背筋が粟立つ。
(なんて‥冷たい瞳‥)
まるで凛のことなど
映していないような暗く、黒い瞳。
何度も、何度も抱かれているのに
やっぱりここには‥
信長様の中には‥
私の存在は‥無い――