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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第11章 二人の宝物 二章


こうして久々に揃った面子で
賑やかに宴会が始まった。

「おいでー。さちー。」

信玄が大きく両手を広げると
ソロソロと幸が信玄の方へ歩き出す。

「幸、どこへ行く?」
ヒョイと謙信が抱き上げ、
自分の膝に乗せると
幸はキャハハと満面の笑みを浮かべた。

「おい、謙信。独り占めするな。」

「抜かせ。幸はどこへもやらん。」




「幸村、これ食べてみて。」

「なんだこれ?」

「俺特製の唐辛子団子だ。」
徳川公のお墨付き、と
真っ赤な塊を幸村の皿に乗せる。

「いや、いらねーから。」


ワイワイと盛り上がる宴を
凛は楽しそうに眺めていた。

この乱世で信頼できる仲間に出会い、
愛する人と子供に恵まれた。

「‥幸せだなあ。」

「何か言った?」

耳元で聞こえた声にハッと
凛が我に帰ると、
心配そうに見つめる佐助と目が合う。

「ごっ、ごめん!なんでもないの。」

「そう。でも、無理しないで。」
何かあったら言って、と
佐助は柔らかく微笑んだ。




「ええーーん!」

突然広間に響いた娘の泣き声に
佐助と凛が同時に振り向くと
困り顔の謙信と信玄の間で
泣きじゃくる姿が見えた。

「泣き止め、幸。」
何が欲しいのだ?城か?と
謙信が幸の頭を撫でる。

「謙信、城はないだろ。おいで、幸。」
抱きしめてあげるから、な?と
信玄が後ろから抱こうとする。

「いーやー!」
謙信の手を払い、信玄の手から抜け
凛に向かって走り出す幸。

「幸っ」
どうしたの?と凛が
抱き上げると幸は謙信と信玄を
指差して涙を堪らえようと
頬を膨らませた。

「なかよし、ないの‥。」

「仲良し、ないの?」
佐助が尋ねると、幸は
コクンと小さく頷いた。

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