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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第11章 二人の宝物 二章


数日後、いつものように
朝から部屋で縫い物をする凛。

「ふう。」

手に持っているのは小さな産着。
お腹の子が産まれてくる春に合わせた
綺麗な淡い浅葱色の柔らかな生地は
先日、反物屋さんで一番に
目に止まった生地だ。

一度、手を止めお腹に手を添える。

「ちょっと気が早いけどね。」
よしよしとお腹を撫でながら、
凛はフフっと微笑んだ。





「なんの気が早いんだ?」

「‥っみ、光秀さん!」

突然開いた襖から入ってきた光秀は
愉しそうに喉を鳴らしている。

「どうした?狐につままれたような顔をして。」

凛は咄嗟に、後手に産着を隠し
裁縫道具と共に机の奥へ押しやる。

「いつ帰ってこられたんですか?」
なんとか平静を装い、微笑んだ。

「つい先程だ。」

ストンと凛の横に腰を降ろすと
ふわりと頭を撫でる。

「息災であったか?」

「はい。」

久々に見る光秀の姿と、
暖かい手のひらの感触に
自然と頬が緩んでくる。

そうか、と満足そうに微笑むと
またすぐに立ち上がる光秀。


「‥あっ。」
すぐに離れてしまった温もりに
寂しくなり声が出てしまう。

「‥そんな顔をするな。」
すぐ苛めたくなるだろう?と、光秀は
触れるだけの口づけを落とした。

「城に行って報告するだけだ。」
すぐ戻る、と言い残し光秀は部屋を後にした。




光秀が部屋を出たのを確認すると
凛は机の下に隠した産着を
そうっと取り出し、綺麗に畳み直す。

ふう、と一つ息を吐くと
少し触れ合っただけでドキドキと
高鳴った鼓動を落ち着けるように
胸に手を当てた。



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