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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第11章 二人の宝物 二章


夕暮れの城下を秀吉と並んで歩く。

凛が懐妊した事を
光秀以外の武将達は早々に
耳に入れていた。


「もう光秀には言ったのか?」
凛から半ば奪うように
抱えていた反物を取り上げて、
満足そうに抱え直す秀吉。

「まだなの。」
なかなか言い出せなくて、と
少し困ったように凛は微笑んだ。



「喜んでくれるかなあ?」
ぽつりと凛が呟くと、
秀吉はキョトンと首を傾げる。

「当たり前だろう。」
喜ばない訳あるか、と言う
秀吉の言葉に少しだけ
モヤモヤが晴れていく。

「俺が保証する。」
だから、そんな顔するなと
空いた手で優しく頭を撫でられる。

「うん。ありがとう、秀吉さん。」
まるで本物の兄のようなその仕草に
暖かい心地が広がっていく。


「ん。もし、光秀が喜ばなかったら
凛ごと俺が攫ってやる。」

「えっ!」

「冗談だ。ほら、着いたぞ。」

光秀の御殿の前で立ち止まり、
出迎えに来た女中に荷物を渡すと
秀吉は凛に微笑んだ。


「くれぐれも身体には気をつけろよ。」
じゃあな、と凛の頭を
くしゃりと撫でて秀吉は歩き始めた。

「秀吉さん、ありがとう!」
その背中に大きく手を振ると
秀吉は振り返りヒラヒラと手を振った。

「さ、凛様。中へ入りましょう。」

「‥はい。」





御殿に入っていく凛を
見届けて、再び歩き出す。

「あながち冗談でもないんだが‥な。」

沈む夕日を見ながら、秀吉は
ポツリとため息と共に呟いた。

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