• テキストサイズ

【イケメン戦国】時をかける妄想~

第11章 二人の宝物 二章


夜、湯浴みを済ませて
光秀の部屋の縁側に腰掛ける。

「‥ドキドキするね。」

まん丸に浮かんだ月を見上げ、
お腹の子供に話しかける。

どんな顔するかな?

喜ぶ?驚く?‥悩む?

「想像も出来ないや。」
ね?そう思うよね?と
お腹を擦りながら、穏やかに微笑む。



「誰と話してるんだ?」

ハッと振り向くと、湯浴みを終えて
まだ濡れた髪を手ぬぐいで拭きながら
こちらに近づいてくる光秀が居た。

何かを探るように細められた瞳に
凛の鼓動が早鐘を打つ。


「‥あの、光秀さん。」

「なんだ?」

凛の背後に座り、そのまま
包み込むように抱きしめられる。


「‥その、私、」

緊張で震える手をギュっと握ると
大きく息を吸い込んだ。

「子供が、出来たんです‥。」

ギュッと目を閉じ、反応を待つものの
一向に光秀に動きは無く少し不安になる。

(‥あれ?)

そろっと目を開き、光秀の顔を
見ようとゆっくり振り返る。

「あの、光秀さ‥」

顔を見る直前に頭を両手で掴まれ、
再び前を向かされる。

(‥?!‥な、何?)

顔も見えず、声も聞こえない。

そんな光秀の行動に、不安が
どんどん大きくなる。


「‥凛。」

「は、はい!」

突然、名前を呼ばれ声が上ずり、
不安を押し込めて次の言葉を待つ。

凛の頭を掴んでいた手が離れ、
そのままお腹に優しく触れる。


光秀の手の平の温もりで
緊張の糸が解れていく。

「俺と、お前の‥子供か。」

「‥はい。」

表情は見えず、読めないままだが
光秀の声は優しく落ち着いて聞こえる。

「‥光秀さんと私の子供です。」
そっと光秀の手に自分の手を重ねた。



「‥俺の子を産んでくれるか?」

その言葉に凛がハッと振り返ると
穏やかに微笑む光秀と視線が交わる。

霧が晴れるように、今まで悩んでいた
不安がフワリと消えていった。



「‥はい。」

ギュッと光秀に抱きつくと、
クククッと光秀が笑みを溢す。

「‥また増えてしまったな。」

「何がですか?」




「‥宝物だ。」

クククッと喉を鳴らすと、
穏やかに凛を見つめ
優しく身体を抱きしめる。

夜空に輝く月の柔らかい光が
二人と、二人の宝物を包んでいた。



end.

/ 227ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp