第10章 Enjoy Summer
「きゃあああ!」
大きな水飛沫を上げて
海に投げ込まれる凛。
「‥っ!ぷはっ!」
「はははっ!海も悪くないな!」
もう一回投げてやろうか?と
意地悪く笑ってみせる政宗。
「おい、独眼竜!」
ああ?と振り向いた政宗に
幸村が思いっきり海水を掛ける。
「へっ!ざまーみろ!」
イタズラ好きの子供のような
幸村の笑顔に凛も
つられて笑顔になる。
「やりやがったな!」
フルフルと顔を振って水を払うと
幸村に向ってに波をかき分けて行く。
「うわっ!おい!やめろ!」
ぎゃあああ!と言う幸村の叫び声を
遠くで聞きながら砂浜で
一人黄昏れる家康。
「‥はあ。」
視線の先にはキラキラと
笑顔を振りまく凛の姿。
首元と背中側の細い紐だけで
水着を纏い、楽しげに
政宗と幸村と戯れている。
「‥なんなの、あれ。」
可愛いすぎるだろ、と小声で呟いた。
「心の声が漏れてるぞ、家康。」
ドサリと家康の横に腰を降ろすと
秀吉はカラリと笑ってみせた。
「秀吉様は家康様の心の声が
聞こえるのですか?」
さすが、秀吉様です!と
秀吉の後ろから顔をだした三成に
家康はうんざりとした表情になる。
「それにしても‥。」
秀吉がチラリと凛に視線をやると
目頭を指で摘む。
「‥目のやり場に困るな。」
「大変、可憐でいらっしゃいますね。」
と、三成が凛を見て微笑む。
その視線に気づいた凛が
3人に笑顔で手を振った。
「家康達もおいでよーっ!」
「家康様、参りましょう!」
ご一緒しますよ、と三成が
ニッコリと微笑む。
「‥死んでもごめんだね。」
「そんな事言わずに仲良くしろ。」
ほら、行くぞと、秀吉は家康の腕を引き
無理矢理立ち上がらせると
三成と共に海に飛び込んだ。