第2章 どこまでも
「‥別に‥いいんじゃない?」
プィっとそっぽを向く耳は赤い。
本当は嬉しかった。
凛も同じように想ってくれていた事。
自分より家康を一番に考えてくれるからこそ
その寂しささえも堪えていた事。
本当は、いつだって傍にいたい。
共に目覚め、共に過ごし、共に眠る。
愛する人と過ごすという喜びを
教えてくれたから。
「家康‥あの、こっち向いて?」
凛が腕の中からおずおずと
家康を見上げている。
「‥なに?」
(そんな顔で言われたら断れないし‥)
家康が向き直ると同時に
唇に柔らかい感触が当たり、
チュ‥っと音を立てて離れていった。
それが凛の唇だと理解するまで
数秒‥家康は動けなかった。
「寂しくさせた罰だよ。」
当の本人は顔を真っ赤にして
えへへっと笑っている。
「‥なにそれ。」
甘く、優しい最愛の人。
(罰になってないし‥)
抱きしめる腕にもう一度力を込める。
「凛‥愛してる。」
「うん‥私も、愛してる。」
蕩けるような笑顔で答える凛。
この笑顔を守る為ならなんだって出来る。
いつだって傍にいたい。
そして、どちらからともなく
また口づけを繰り返し
甘い、甘い幸せに浸っていった。
END