第8章 【R18】暑い夜と熱い夜
凛が花瓶に向日葵を
生けると部屋が華やいだ。
それは向日葵のせいだけではないと
家康は凛の横顔を
見つめながら思う。
「‥喉乾いたでしょ?」
お茶いれたから、と
凛に湯のみを差し出す。
「え?!家康が入れてくれたの?」
「‥いらないならいいけど。」
凛はブンブンと首を振り、
湯のみを受け取ると
嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう、頂きます!」
「‥‥。」
家康は凛が飲んだのを
確認すると自分も同じお茶を飲む。
「美味しい!」
家康が入れてくれたからかな?と
ふにゃりと微笑む凛。
「‥そう。よかった。」
ふっと家康が柔らかく微笑む。
「‥‥?」
暫く2人で他愛ない話をしていると
凛が身体の違和感に気づく。
(なんだか、身体が熱い。)
日に当たりすぎたのかな?と
首を傾げる凛。
「‥凛。」
「‥な、なに?」
ハッと凛が顔を上げると
少し紅潮した頬にトロンとした
翡翠の瞳と目が合う。
瞳の奥に妖しい炎を宿す家康に
ドキドキと鼓動が高まり始める。
「‥っ!」
スッと距離を詰められ、
気づけば凛は
畳の上に組み敷かれていた。
「‥あ、の‥。」
「‥凛。」
熱に浮かされたように家康が
甘い声で名前を呼ぶ。
「‥俺の事、好き?」
「‥っ!」
縋るように伺うその仕草に
凛の頬が一気に紅潮する。
普段からは想像も出来ない家康の姿に
凛は心臓が大きく波打った。
「‥ねえ?好きって言って。」
組み敷いた腕を離し、家康は
ぎゅっと凛を抱きしめる。
心臓の音が聞こえるんじゃないかと
思う程、密着した身体。
「‥い、えやす。」
(家康の匂いだ‥。)
ずっと触れたかった温もりに
凛はそっと腕を回すと、
優しく抱きしめ返した。
「‥好き‥だよ。」
「‥っ!」
少し潤んだ瞳に紅潮した頬。
熱を孕んだ吐息と、
無自覚に放つ凛の色香が
家康の中の最後の理性を飛ばした。