第8章 【R18】暑い夜と熱い夜
家康は中庭に出ると、
探していた小さな背中を見つける。
「‥なにしてんの?」
「きゃあ!」
突然、声を掛けられた凛は
ビクッと肩を揺らし、振り向いた。
「い、家康?びっくりしたー。」
困ったように笑ってみせると
手に持っていた向日葵を見せる。
「これ、家康の部屋に飾ろうと思って。」
フワリと微笑むその表情は
少しだけ頬が染まって見える。
「‥好きにすれば?」
素直にありがとうが言えない家康は
代わりに凛の手を掴む。
「い、家康?」
「‥部屋、行くんでしょ?」
あんた歩くの遅いし、と
顔を背ける家康は耳まで赤い。
戸惑う凛を横目に
スタスタと手を繋いで歩き出す。
「‥は、速いよ、家康。」
(どうしよう!嬉しい!)
突然、繋がれた手のひらに
ジリジリと熱が集まる。
(きっと私、顔赤い‥。)
ドキドキと高鳴る鼓動を感じながら
凛は家康の手を握り返した。