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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第8章 【R18】暑い夜と熱い夜


「ワサビー?‥どこ行ったんだろ?」

長かった梅雨も明けて、
眩い夏の日差しが降り注ぐ季節。

蝉の声を聞きながら
ワサビの餌を持って、広い庭を
ウロウロしていた凛は
木陰に腰を下ろした。

「暑いなー‥。」

見上げると生い茂る緑の隙間から
日差しがキラキラと瞬いて見える。

(‥綺麗。)

その柔らかく輝く黄金色の光と同じ
黄金色の猫っ毛の彼を思い浮かべる。


天の邪鬼で素直じゃないし、
照れるとすぐそっぽを向いたり。

誰よりも弱さを知ってるから
誰よりも強くて、暖かくて
本当は誰よりも優しい人。




ワサビの餌やりだったりと
色々な理由を見つけては
家康の御殿に通う日々。

(‥ちょっとは近づけたのかな。)

凛の中に淡く芽生えた恋心。

なかなか埋まらない家康との距離。
もどかしさが胸を膨らませていた。


「あっ!ワサビ!」

ヒョコッと顔を覗かせたワサビに
急いで立ち上がり、駆け寄る。

「どこにいたの?」
微笑みながらワサビに餌をあげると
小さな尻尾をピコピコ動かして、
嬉しそうに餌を頬張る。

その背中を撫でながら
凛は、ふと空を仰ぐ。


(家康は私の事‥)

――――どう思ってるんだろ。

時折見せる優しい表情を思い出すと
ポッと心が暖まる。


いつかこの想いを伝えたいと思う。

そう思いながらも、心地の良い
今の関係を壊してしまうんじゃないかと
勇気が出ないでいる。

真っ青な空に目を細め
凛は、ふうと息を吐いた。

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