第2章 白髪の二人
そう言うと、今度はグレンに向かって、
「そういうわけだ。スイも仲間だよ」
などと言って、笑いかけてくる。
「……仲間じゃない。私はただ単に興味がないだけ」
(興味がない、ね)
こいつはどこまでを興味ない、と言うのだろうか。
ふとそんな疑問が頭をよぎった。
見た目は人畜無害そうだが油断できない、とグレンは考えていた。
柊スイの実力は未知数だが、少なくとも柊の名を持っているわけなのだから平均以上の実力はあるだろう。
おまけにこの胡散臭い男、柊深夜とともに行動しているわけなのだから、なおさら謎が多い人物だ。
「まあこれはひっかけでもなんでもないから。本当に僕は柊が嫌いだからね」
こいつの言葉を信用できるか、と言われたら、答えはもちろん否だ。
こいつが本当に反柊家の思想を持っているのか、それとも一瀬を試しているのか。
それはわからない。
わからないが、しかし、あまり関わり合いになるべき相手ではなさそうなので、グレンは対応を変えることにした。
「ちっ、ペラペラおしゃべりな野郎だな。俺の目的は、お前とは違う。お前が何をしたいかは知らないが、俺を巻き込むな」
瞬間、深夜の表情がさらに明るくなる。
「あ、もう敬語やめるんだ」
「うるさい」
「じゃ、友達?友達になる?」
「うるせぇって言ってんだよ」
「あはは、ま、いいけどね。どうせ君には、ここでは僕くらいしか仲間はいないんだ。だから仲良くなるしかないしねぇ」
深夜はやはり楽しげに笑う。
それにグレンは深夜をちらりと見る。
ついでにスイのほうへ視線を向けると、バッチリと目があった。
「……大変だね。深夜に目つけられるなんて、かわいそう」
「そう思うなら、こいつをなんとかしろ」
「……あなたなら深夜くらいどうとでもできる」
「どういう意味だよ?」
「…………」
彼女は答えなかった。
その代わり、深夜に見えないようにして、メモを渡してきた。