第2章 白髪の二人
無表情のまま、淡々と言葉を紡ぐスイ。
それに乗るかのように、深夜が、
「あれ、なんでかなぁ?実力を隠すためかな?」
と煽る。
「それって、逆らう気満々ってことじゃないの?野心丸見えなんだけど?」
グレンは深夜を見て、言う。
「これは……申し訳ありませんでした」
「お、あっさり認めるんだ?」
「ですが認めたのは野心の部分ではありません。ただ、家から誰にも逆らうな、柊家の方々からの怒りを買うな、と言われていたために、波風が立たぬよう攻撃を受けたのは事実です。実力を隠したわけではありません」
「ふぅん。そっか」
「はい」
「そっか〜」
と、深夜はこちらを見つめる。
にこにこと見つめる。
そしてなぜか近づいてくる。
異様なほど近づいてきて、耳もとで言う。
少しだけ低い声で、
「なあグレン。つまんねぇ嘘、吐かすんじゃねぇよ」
「…………」
グレンはそれに、目を細める。
深夜を見つめ、
「嘘では……」
が、遮って深夜は言う。
「ま、いいけどね〜。でも、せっかく仲間がいるなーって思って期待してたんだけどなぁ」
「…………」
「僕も君と同じで柊家が嫌いだから、一緒になって、こそこそ色々やれたらおもしろいなぁって、そう思ってたのに」
「…………」
グレンがだんまりを決め込んでいると、先ほどよりもさらに表情のない声で、
「……信用ならないって思ってる」
スイが本に視線を向けたまま、話に入ってくる。
「いえ、決してそういうわけでは……」
「……大丈夫。深夜は養子だから。柊の血は引いてない。だから、深夜が柊家のことが嫌いっていうのはほんと」
「そう、つまり君とは、仲間だ」
なんてことを、言う。
そして、スイが話した内容のことは、聞いたことがあった。
柊家は、自分たちの血筋に呪術の力が強い者が生まれるよう、優秀な子供を見つけて教育し、取捨選別し、生き残った者を養子にする。
そして自分たちの血筋の者と結婚させて、子供を産ませる。
そういう噂は、以前からあった。