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雪・月・華〜白き魂〜【気象系BL】

第8章 ー生ー


照の願いも虚しく、どこから聞きつけたのか、八百比丘尼の噂を耳にした男達が代わる代わる訪れては、智をまるで性奴隷のように扱った。

男達は一様に智の放った精を浴びると、嬉々として蔵を出て行った。

皆信じて疑わなかったのだ、八百比丘尼の精を浴びれば永遠の命が得られると…

愚かな男達…
そんなのただの迷信に過ぎないのに…

皆地獄に落ちちまえばいいんだ

照は事を終えた後の智の身を清めながら、心の中で何度も罵った。

と同時に、長年仕えたとは言え、大野の悪魔のような所業に、苦言の一つも呈すことの出来ない我が身を恥じた。

一体いつまでこんなことが続くのか…

智の雪のように白い肌に残された無数の赤い痣を見る度、深い皺を刻んだ目尻に涙を浮かべた。

「泣いたら駄目よ? 泣いたらお月様が笑うの。だから僕は泣かないの…」

智の小さな手が伸びて、照の目尻に溜まった水滴を指の先で掬う。

「ああ、そうだったね…。智の言う通りだ。お月さんが笑うね…」

それは泣いてばかりいる智に、照がずっと言い聞かせて来た言葉だった。

いつか、智にとって本当の幸せが訪れるその日まで、決して涙を流してはいけない…

智は健気にも、照からの言い付けを守り続けていたのだ。

一度もその腕に智を抱くことなく殺された母を亡くし、唯一の遊び相手でもあった相葉までもが姿を消して、さぞ寂しかったろうに…

照は智に隠れるようにして、着物の袂でそっと目頭を押さえた。
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