第8章 ー生ー
「これは何と具合の良い…。どれ…」
大野は厭らしく顔を歪めると、着物の裾を捲り上げ、緩く締めた下帯から黒光りする肉棒を取り出し、智の小さな蕾に宛てがった。
「旦那様! 智はまだほんの子供にございます。どうかそのようなご無体は…」
隙あらば飛びかからんとする澤の眼前に、三度刀の尖端が突き付けられる。
それには流石の照も為す術もなく…
「いっ…いやぁぁぁっ…!」
智の白い身体に、真っ黒な慾の塊が跡形もなく飲み込まれて行くのを、唇を噛んで見つめるしかなかった。
「これは…、まだ硬いが直に…」
大野は泣き叫ぶ智には構わず、細い身体が裂ける勢いで腰を打ち付けた。
こんなことなら、あの時一思いに殺してやれば良かった…
そうしたらこの子はこんな目に合わされることもなかったのに…
許しておくれ、智…
僅かな同情心と、一瞬芽生えた母性を、照はその時になって漸く後悔した。
やがて大野が身体をぶるりと震わせると、智もそれに釣られるように、身体をぴくりと跳ね上がらせた。
「ほう…、これが八百比丘尼の精か…」
大野は智のまだ小さな茎の尖端から溢れた白い雫を指で掬うと、それを獣の如き仕草で舐めとった。
「ふん、中々の美味ではないか、ん? どうだ、照、お前も味わってはみぬか?」
「わ、私は…」
照は腹の底から込み上げてくる苦い物を、必死で堪え、首を何度も横に振った。
「まあ良い。それより、子奴の名は智とかいったな? 智の世話はお前に任せる。上等な着物を着せて、身奇麗にしてやれ」
「旦那…様? それは一体…」
「分からぬのか? 子奴は金になるとと言っているのだ」
「そ、そんな…、智に何を…? いけません、それだけは堪忍を…」
我が子を金儲けの道具にしようとする大野に向かって、照は両手を擦り合わせ、涙ながらに懇願した。