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雪・月・華〜白き魂〜【気象系BL】

第8章 ー生ー


照が話す間、大野は一言も発することなく耳を傾けた。

そして、

「このお子は、紛れもなく旦那様と奥様の間に産まれたお子でございます」

照が話を終えると、大野は立派な髭を蓄えた口元を不気味に歪ませた。

「ほお…、この白いのが私の倅(せがれ)とは…、笑止の至り。だが…」

赤い雫を滴らせる刀の刃先が智に向けられる。

照は咄嗟に智と刃先の間にはだかると、両手を広げ、首を何度も横に振った。

「どけ。どかぬか」

「いけません…、旦那様…、殺してはいけません…」

「誰が殺すと言った?」

「で、では、お助け下さるのですか…?」

照はほっと胸を撫で下ろした。

が、それも束の間…

大野は照を蹴倒すと、智の赤く染まった着物の襟元を鷲掴み、乱暴に床へと押し倒した。

そして智の細腰に巻き付けた帯を、刀で一息に切り裂いた。

「だ、旦那様、何をなさるおつもりですか…」

痛む脇腹を押さえ、照が目を見開く。

「照よ…。この白いのは八百比丘尼(やおびくに)やもしれんぞ? ならば、本物かどうか確かめねばならんのではないか?」

八百比丘尼…

人魚の肉を食らい、不老不死となり八百歳まで生きたという尼僧の伝説を、照も耳にしたことがあった。

まさか智がそうだと言うの…?

そんな…、そんなことがあるものか…

俄かには信じ難い説に、照はぎりりと床に爪を立てた。

その照の目の前で、大野は智の着物を乱暴に剥ぎ取り、両足を大きく割り開くと、穢れを知らぬ無垢な蕾に指を突き入れた。

「ひっ…! あっ、あ、あぁっ…、痛…い…っ…!」

智の悲鳴にも似た声に、照は俯かせた顔をはっと上げると、脇腹の痛みすら忘れて大野の腕に縋った。

「旦那様、なんてことを…! おやめくださいまし!」

が、

「黙れ、邪魔をするでない」

大野の手に光る刀の先を向けられた瞬間、恐怖に慄いた照はその場に腰を抜かした。
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