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雪・月・華〜白き魂〜【気象系BL】

第7章 〜空〜


「ふふふ…とーさま、地獄へ行っちゃった…」

五助を抱きしめながら、翔は微笑んだ。


天に還ることなぞ、許されない

五助を抱きしめながら、なぜか翔はそんなことを思った。
そして、自分も…

きっと許されることはないんだろう


また焼け跡を見つめていると、今度は薄い紫の光が空に揺蕩った。
その光を追うように、今度は薄青い光が見えた。

青い光が惑うように揺らめいていると、紫の光がそれを包むように寄り添った。

そのまま、光はゆっくりゆっくりと柱になり空を昇っていく。

「潤なの…?」

後ろで声が聞こえた。
振り返ると、そこには女中頭の照がいた。
雨と皆が踏み荒らし泥土になった地面の上で、蹲っている。

「…違う、翔…坊っちゃん…?」


ああ…
おまえもまた…罪を背負っている


翔は五助を抱えたまま照に歩み寄った。
そして、照の前に跪くとにっこりと笑った。

「潤はね、僕の智を連れて、一緒にお空に行ってしまったの…。僕と五助を残して、ね…」

なぜだか、翔の目に涙が溢れた。
煤にまみれた頬を、一筋涙が伝っていく。

「そん…な…」
「ほら、見えるでしょう?」

翔は蔵の方を振り返って、天に昇っていく二つの光を指差した。
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