第7章 〜空〜
扉を開けると、すでにあたりは真っ白だった。
むせながら、袖を口に当てた。
何も見えない中、長持ちや葛籠にぶつかりながら、なんとか奥にある崩れ落ちそうな扉の前に立った。
「智っ…」
扉の把手に手をかけた瞬間、焼け付くような痛みが指先に走った。
「熱っ…」
怯んだ瞬間、扉が翔に向かって爆ぜた。
”翔くん―――”
智の声が、聞こえた
”翔くん…ほら見て…ぼく、人になったよ”
そんなわけない
”父様のいうこと、聞いていてよかった…”
ちがう…ちがうちがう!
”そうだね”
え…?
”翔くんは、ぼくを人にはしてくれなかった”