第2章 ー月ー
潤にはその声が意味することを、容易に察することが出来た。
まさか…
でも蔵に入って行ったのは、確かに紳士が二人だった。
だとすると、この声は…?
潤はゴクリと息を飲み、扉を少しだけ開けその奥を覗き込んだ。
そして見た物は…
蝋燭を灯しただけの、薄暗い部屋の中で絡み合う三つの肢体。
その二つはあの紳士だとすぐに分かった。
でももう一つは…
透けるように真っ白な身体に、銀糸のように白く長い髪、そして血の様に真っ赤な瞳の…
化け物…?
四つん這いにさせられ、口と尻に男の昂りを咥え込み、ゆらゆらと揺らす細い肢体に、長い髪が纏わりつく。
揺らめく蝋燭の灯りの中、その姿が妖しくも妖艶で、潤は思わず息を呑んだ。
と、同時に感じた、中心に集まる熱。
潤は無意識に中心に手を伸ばした。
下履きの中に手を差し入れ、自身の昂りをその手に握り込んだ。
上下に擦ってみれば溢れ出す先走りの液体に、その手を濡らした。
ともすれば零れそうな吐息を、自らの指を噛んで堪えた。
そして男たちの呻きと、一際高い嬌声が響いた瞬間、潤の手の中にドクドクと脈打ちながら吐き出された熱。
整わない息と、脱力した身体で何とか蔵から抜け出すと、潤は一目散に自室へと逃げ込んだ。
潤の手には、初めての自慰の痕跡を残していた。