第1章 episode.00
陽「あった…!」
クローゼットの下に置いておいた小さめのキャリーバッグを引っ張り出して開き…
陽「父さんの服、持ってて良かった」
家を出る時、亡くなった両親が気に入っていた服を捨てられなくて持ってきていた。
…まさか、誰かに着させる時がくるとは思ってなかった。
どこか寂しい様な悲しい様な…ちょっと嬉しい様な複雑な気分。
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――――――……
陽「はぁ…どっと疲れた」
?「勝手に騒いでたんだろ」
父さんの服を身に纏った猫男?の言葉を聞きながら、じっと眺めた。
?「颯吾」
陽「はい?」
?「人間界での俺の名前、
月丘 颯吾(ツキオカ ソウゴ)」
陽「はぁ…?」
何この人…人?今はそこは良いか。
勝手に話進めてるし…。
人間界っていうのにも突っ込みたいけど、その名前をいつ決めたのかも突っ込みたい…頭を抱えたくなるのを堪えながらも一応、耳を傾ける。