第1章 episode.00
颯「それと、昨日は助けてくれてありがとう」
どんどん勝手に話を進めていくのかと思っていたが、不意に述べられた感謝の言葉に驚いて、弾かれた様に顔を上げると切れ長な目が合った。
陽「い、いえ…」
段々と落ち着いてきて、少し余裕を取り戻した私は目の前にいる猫男…いや、月丘を観察する様に見詰めた。
猫の時の色を引いているのか、ロシアンブルーの毛色に近く、さらさらとした髪で切れ長な目に軽く掛かる程度の前髪…俗に言う
“かっこいい人”“イケメン”
陽「あの…本当に昨日の猫…なの?」
私の問いに軽く頷く。
陽「何で、えっと…ここに来たの?」
颯「……親父に言われたから」
陽「お父さん?」