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ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜

第13章  初めての夜は




カーディナルの喉は生理現象で、薬を飲み込んだ。


ハートランドはカーディナルの喉の動きを、
呆然と見つめていた。


「その薬は毒だよ。」


「え!!」


後ろから冷たい声が響き、
ハートランドは驚いて振り向いた。


「クスクス。嘘だよ。
でも本当だったらどうするの?」


「…考えていなかったよ…」


そんな素直なハートランドの様子を、
半分呆れ半分可愛らしく思い、
彼は可笑しそうに笑った。


「あの薬は簡単に言うと、増血剤と精力剤だよ。
カーディナルは間違いなく致死量に近い大量失血状態。
だから、赤いカプセル2個。
ちょっと多すぎたかもね。
白は精力剤、今の彼女には鋭気も必要だからね。」


横目でカーディナルを見つつ、
ハートランドに教えて上げた。


「そうか…。その、なんと礼を言ったら良いか…」


ハートランドはカーディナルの頭を撫でつつ、
恥ずかしそうに目を伏せた。


「フフ、礼なんていらないよ。
たっぷり貸しにしてあげるから。」


腰に手を当て、ウィンクをする。
その様子にハートランドの頬は赤くなった。


「リヒテンシュタイン君…君は不思議な人だね。
仮にも僕は、君に脅しを仕掛けたディクシー派のドラキュラだよ。
面と向かって話をしたのだって昨夜が初めてじゃないか。
なんでそこまでして、僕を気にかけてくれたんだい?」


ハートランドの瞳はまるで恋する乙女のように、
感激で潤んでいた。


「ハハ、大げさだな。
そうだね、君とは昨夜会ったばかりだし、
ディクシー派というのももちろん分かっているよ。
マキアに手を出そうとしたことは、
今後1000年は忘れないだろうしね。」


最後の言葉にはゾクッとするような苛立ちが含まれていた。


「そ、その件は、本当にすまなかったと思っている…。
許して…欲しい。」


ハートランドは縮こまって頭を下げた。


「フフ、素直な子は好きだよ。」


妖艶に微笑む彼の姿は、小悪魔そのものだ。

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