ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第12章 メイド心の変化
「マキアーーーー!」
業間休みに教室に入ると、クラスメイトのエミリが大声をあげて飛びついて来た。
「うわっ!ごきげんようエミリ…っ!どうしたのっ?」
驚いたマキアは身体を抱きとめつつ、挨拶をした。
「ごきげんよう…って挨拶なんてどーだっていいのよ!
アンタ大丈夫だったの?!」
エミリはすごい剣幕のまま、
マキアの身体をペタペタと触った。
「えっ、えっ、なになになにー!」
太ももや胸やお尻まで触られて、
マキアは真っ赤になって身を固めた。
「まぁ、大丈夫なら良いんだけど心配したのよ?!」
今度は眉根を下げて溜息をつくエミリ。
マキアはまだ状況が把握できていなかった。
「あのさ…大丈夫って〝なに〟について?」
マキアは、まさか昨夜の吸血行為の事では?とハラハラしていたのだ。
「なにって、行ったんでしょう?ハートランド様のお屋敷…」
最後の名前は、マキアに耳打ちされた。
大騒ぎにならないよう彼女なりの配慮だったのだろう。
「えっ、ああ、そっちか」
マキアはちょっとホッとした。
「は?そっちってなによ。」
エミリは怪訝な顔で見つめる。
「あ、別に。うん、行ったよ昨日お屋敷に。
食事をご馳走していただいて、帰って来ただけだけどね。
ハートランド様にはメイドが3人もいらっしゃってね、
中でもカーディナルさんはとっても綺麗な人だったよ!」
マキア前言を誤魔化すためにも、早口で喋った。
「そのカーディナルさん、今瀕死だけど。
アンタは平気なのね?」
「え?」
マキアは真剣に聞いてくるエミリの目を、
食い入るように見つめ返した。