ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第2章 メイドの学校
まぁそれはさておき、
『ナイト・ヘブン・スクール』
がどんなことを学ぶ所かと言うと、
吸血鬼の好きなもの嫌いなものなど基礎的なことから、
歴史や禁忌、いざと言う時のためのドラキュラの治療・蘇生、そして殺害方法など、
高度なものまでと幅広い。
あとは料理やお裁縫、
マナーなど淑女としてのお勉強もある。(私は苦手…。)
学校が始まる14時~バンパイア連合会が終わる21時まで、
みっちりしごかれます。
学校は10年制。
12歳から始まるから、私は5年生。
ドラキュラに遣えることが出来るのは、
4年生(15歳)から。
このナイト・ヘブンに通うのは、
人間と吸血鬼のハーフ(バンパイアハーフ)もいるけど、
大半が普通の人間の女の子。
友達のエミリもその一人。
彼女は“とても大変な”ドラキュラ様に遣えている。
「ごきげんよう、マキア。」
エミリがぐったりとした様子で朝の挨拶をした。
ナイト・ヘブンでは
“おはよう”も
“こんにちは”も
“さようなら”も
“ごきげんよう”だ。
「ごきげんよう。どしたの、すごいクマ。」
エミリは力なくヘラッと笑った。
「ハハ…いつものことよ。」
「…あぁエドワール様ね…。」
私も力なく愛想笑いを浮かべた。
エドワール・ハドウィル様。
最も古い7つの血筋に数えられるお方である。
そんなやんごとなき身分の、
貴きドラキュラ様ではありますが、
少々体質に難がございました。
それは…