ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第9章 社交界の華
いい人オーラが溢れんばかりに漂っている…。
マキアはハートランド様のキラキラスマイルを眩しそうに見つめた。
「さぁさぁ、まずはおもてなしをさせてくれ!」
ハートランド様が右手をあげると、奥から2人の女の子が進み出てきた。
5.6歳くらいの幼い二人だ。
とても可愛らしいお人形さんのような格好をしている。
「テディ。ビスク。ご挨拶を」
「テディともうします」
「ビスクともうします」
「「いごおみしりおきのほど、よろしくおねがいいたします」」
二人は子供のお遊戯のように手を繋いで、礼をした。
「うん、うん!よく出来たね二人とも!とっても可愛かったよ!」
ハートランド様は手を叩いて二人を褒め、頭を撫でた。
確かにとっても可愛かった。
テディと呼ばれた子は、紅茶色のカールがかかったボブヘアに、クリクリとした茶色の目をしていて、
そばかすがチャームポイントになっている。
ビスクと呼ばれた子は、シャンパンゴールドのぱっつん前髪にストレートロング。
睫毛長さが際立つ水色の目をしていた。
陶器のようなきめ細やかな白い肌が美しい。
二人とも色違いの赤と水色エプロンドレス姿で、服と同じ色の大きなリボンを頭につけていた。
見た目も可愛らしい二人だったが、マキアは二人の無表情さや抑揚のない声が気になった。
とても緊張しているのだろうか。
「さぁリヒテンシュタイン君、座って。」
ハートランド様が席をすすめると、カーディナルさんが静かに椅子を引いた。
一瞬間を置いてリヒ様は仕方なく座り、
私はリヒ様の隣に立った。
「マキアちゃんも座って。今日の君はゲストなんだから!」
「えっ?」
ハートランド様はにっこりとウィンクしてマキアを見た。
私は戸惑い目を見開く。
「い、いえ、私はメイドでございますので、どうぞおかまいなく…」
私は深々とお辞儀をした。
「うーん。僕のお願いをそうやすやすと断るなんて…悲しいな。」
ハートランド様は悲しそな瞳で見つめてきた。
綺麗な瞳を潤ませて、小首をかしげる。
(うっ…なにこの破壊力…母性本能が……)