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ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜

第8章  妬きもち



マキアの目元が歪む。


「…私は……」


リヒ様は手の動きを止めた。


「私は…うぅ…ひっく…」


マキアは目をぎゅっと瞑ると、大粒の涙を流した。


「私は…っく…リヒ様の…メイドです……メイドなんです…
リヒ様のためなら、何でもします…
うぅ…だから……だから、
でも…ひっく……でも…い、痛かった…です…
痛かったよ……っ…うわぁぁんっ!」


マキアはメイドとしての使命と本心との板挟みに耐え切れず、
ついに感極まって泣き出してしまった。


「ごめんなさいっ…ひっく、でも…抑えられなくて…っく…えーん…」


マキアは涙をポロポロと流して泣きじゃくった。


「マキア…」


リヒ様は顔を歪ませて、泣きそうな顔をした。


「あぁ…ごめんね。ごめんマキア…。」


リヒ様はマキアの両手を解放して、
マキアの全身を包み込むように抱きしめた。


「…私が悪かった。君の気持ちを試すような事をしてごめんね。」


頭上でリヒ様の優しい声がする。
リヒ様の胸が、腕が、手のひらが温かい。


「私は最低だね。」


リヒ様は自分を嘲笑する。


「そんなっ…リヒ様…」


マキアは聞いたことのないような、リヒ様の悲しそうな声に驚き、
目を見開いた。


「マキアの気持ち、嬉しいよ…」


リヒ様は覆いかぶさるようにマキアを抱き、静かに囁いた。


「リヒっ…さまぁ…っく…」


マキアはリヒ様の香りと心地よい重さに目を細めて、
幸せをかみしめて泣いた。


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