ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第7章 媚薬
「…っ、はあぁ~~」
マキアは緊張と媚薬の効果が切れた反動で、どっと脱力感に襲われた。
「あはは。おつかれさま、マキア」
リヒ様はにっこりと笑いマキアの頭を撫でた。
マキアは心地よくて微笑んだ。
「なんだか色んな意味ですごい御方でしたね…。」
マキアはエロイーズ様が消えた場所を見つめた。
「彼女はプロフェッショナルだね。
予想外の事が起きたり、分が悪いと判断したら、
深追いはせず冷静に作戦を立て直す。
正直、早々に帰ってくれて良かったよ。
本気の呪術でもかけて来たら私は太刀打ちできないからね。」
リヒ様はへらっと笑った。
「リヒ様でも太刀打ちできないんですか…?
へぇ…あの方ってそんなにすごいんですね。」
「んー?恋しちゃった?」
「えっ?」
リヒ様が覗き込む。
「いやいやいや!!…確かに媚薬にあてられた時はぽーっとなっちゃいましたけど…。
でも、ん~どうでしょう。まだ抜けていないのかな。
あまり怖くなかったというか、憎めないというか…。」
マキアはエロイーズ様の完璧な身体、妖艶な微笑みと時折見せる可愛らしい笑顔を思い出して、
あまり悪い感じはしなかった。
「あ~ぁ。やられちゃったかな…。」
「え?」
「主人としては、他のドラキュラに思いを寄せるなんて、
許せないんだけどなぁ…」
「リ…リヒ様…?」
リヒ様は10代後半のような姿になり、
幼さの残る色っぽさでマキアを見下ろす。
「これは…お仕置きかな…?」