ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第7章 媚薬
「っっ!!」
エロイーズ様は渾身の力でリヒ様の手を振り払って立ち上がった。
「…はぁ…はぁ。この私を…媚薬で組み伏せようなんて、甘いわよ♡」
顔は上気しているが、目はしっかりとリヒ様を見つめていた。
「おや、さすがだね。もう少し遊べると思ったのにな。」
フッと微笑んで、リヒ様はソファーに座り直した。
「私に媚薬を盛ったこと…はぁ…褒めてあげるわ…
久しくそんなバカなことする人いなかったから、
確かに油断したわね…♡」
熱い吐息を吐きながら、エロイーズ様は悠然と微笑んだ。
「長生きしてると、楽に勝つ方法ばかり考えてしまってね。」
リヒ様は腕を組み鼻で笑った。
「…でもそんな貴方も…はぁ…好きよ♡」
「媚薬のせいだろ。」
リヒ様の冷たい言葉にもエロイーズ様は反応しているようだ。
まさかあの方Mでは?
「今夜は…貴方の勝ちにしてあげる♡
今の私は貴方に恋する乙女だもの…♡」
エロイーズ様は今の状況を楽しんでいるようだ。
リヒ様にウィンクをすると、マキアを見た。
「帰るわ。コートをちょうだいメイドさん。」
「は…はい!」
マキアは慌ててコートを持ってくると、エロイーズ様に着せた。
マキアはその間も、胸のトキメキと格闘していた。
「それではごきげんよう♡リヒテンシュタイン様♡
今度は媚薬なしで愛し合いましょう…♡」
「ハハ、ムリ。」
リヒ様はそれはそれは爽やかな笑顔で笑った。
「んもぅ♡冷たい人。でもそこが好きよ…♡」
どこからともなく風が吹いたかと思うと、
甘い香りを残してエロイーズ様は消えた。