ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第1章 ドラキュラ主人とメイドの日常
リヒ様の顔が近づき
妖艶さに眼を奪われていると、
前髪が頬に触れて
すぐったさにハッとした。
「んもー!!
なんでもいいですから出てってくださいょ!!
寝不足はお肌に悪いんで!!」
私はリヒ様の背中をどんどん押して、
寝室から追い出そうとした。
「美容に悪いのはいけないね。
マキアはそのままでも十分綺麗だけどね。」
かわいくウィンクされ私は一瞬ボッと赤くなった。
それからムッとした。
「ハイハイ、アリガトーゴザイマス」
「あはは本当だょ?
あと、夜のおさんぽしてくるから、
出来れば出口は窓の方がいいなぁ?」
私は背中を押したままクルッと回って窓際まで押した。
「あはは、どうもありがとう。」
リヒ様はゆったりと口許に笑みを刻んで、
優雅に窓から外へでた。
夜空に大きなコウモリの翼が広がる。
その場に悠然と浮いて、
白くなってきた月を背にして風に体を預る。
「夜明け間近ですから、
あんまり遅くまで遊んでちゃ駄目ですからね~!!」
私は窓枠に手をかけ、
上半身を乗り出して叫んだ。
リヒ様はヒラリと手を振ると、
夜の星になって消えた。
あとにはリヒ様の白薔薇の残り香。
私が作った白薔薇の砂糖漬けかなっと思った。
夜風がひやりと冷たい。
私はリヒ様の無事のご帰宅を祈ってから窓を閉め、
ベットに戻った。