ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第7章 媚薬
「まさかこんな小娘に邪魔をされるなんてね…
リヒテンシュタイン様の唇の味、試して見たかったわ♡」
エロイーズ様は溜め息をつき、リヒ様を見つめた。
「フン…そんな簡単にはあげないよ。」
リヒ様は冷ややかに笑った。
「あらっざんねんだわ♡」
エロイーズ様はウィンクをして、舌をペロッと出した。
「!!」
マキアはエロイーズ様の可愛らしい笑みに撃ち抜かれ、
心臓がドクンとした。
「…んふっ♡この子はこんなに単純でピュアなのにねぇ♡」
エロイーズ様は可笑しそうにマキアを見つめた。
「正直危なかったよ。
マキア、君の粗相のおかげで助かったんだ。」
「へ?」
マキアは間抜けな声をだした。
「人間の女の子に術を破られるなんて、
思いもしなかったんじゃない?レディ。
ま、私のブラッディー・ローズは特別だけどね。」
挑発的な笑みを浮かべ、リヒ様は可笑しそうに言った。
「あらっ♡もう勝ったおつもりかしら?
私はまだ香水しか使ってなくてよ?」
そう言ってエロイーズ様はワインを飲んで不敵に微笑む。
濡れた唇がなんとも艶めかしい。
「…勝ったなんて思ってないよ。」
リヒ様がゆっくりと立ち上がった。
「…まだ。」
「!?」
リヒ様はエロイーズ様の前に立つと、
色気のある微笑みを浮かべ、
右手を彼女の顎に添えて上向かせた。
「…なんのおつもり?」
エロイーズ様は突然のことに目を見開いた。
リヒ様はゆっくりと彼女の頬に長い指を滑らせてった。
「…っ」
エロイーズ様の頬がほんのりとピンクに染まり、
目が潤んでいく…
「ふふっ君こそ素直だね、エロイーズ…」
リヒ様は低い美声で囁き、ふっと妖艶な笑みをたたえる。
それは側で見ていたマキアもドキッとする程美しかった。
「っ!…リヒテンシュタイン…様…」
エロイーズ様はリヒ様の美しい笑顔にくぎづけになり、
目がどんどん熱っぽくなっていく。
「さて、エロイーズ。私の唇が欲しいか?」
その笑みはまさに、天使のような小悪魔だった。