ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第5章 白薔薇の砂糖漬け
熱に浮かされている様なマキアは、
閉じそうになる目を開けて、リヒ様を見た。
肌の艶はもどり、目もはっきりしている。
良かった。
私の血で元気になられたみたい。
マキアはホッとして目を細めた。
それはブラッディ・ローズの努めだけれど、
マキアはそれとは関係なく素直に嬉しかった。
その視線を感じたリヒ様は、
マキアのおでこに優しくキスをした。
そして壊れ物を扱うようにベットに寝かせ、
掛け布団を肩までかけてくれた。
襟元に付いた血はもう消えている。
「リヒ…様」
マキアは睡魔に負けそうになるのを必至でこらえて、
リヒ様の袖を掴んだ。
「残りの…砂糖漬けは、
キッチンの…右から2番目の戸棚の中…」
リヒ様は微笑むと、マキアの唇に人差し指を優しく置いた。
「ありがとう。ゆっくりおやすみ。」
マキアも微笑むとゆっくり目を閉じた。
リヒ様はマキアの寝息を聞くと、優しく髪を撫でた。
そして唇を親指でなぞると、静かに口づけをした。
「愛してるよマキア。」
マキアを起こさないように静かに部屋をで出る。
「俺はどんな事があっても、君を守るよ…必ず。」
それは誰に言う訳でもなく、静かに呟くと、自室に向かった。