ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第5章 白薔薇の砂糖漬け
マキアはドキッとして、目が釘付けになった。
リヒ様はゆっくりと席を立つと、
マキアの前まで優雅に歩く。
「マキア、ありがとう。」
甘い美声でマキアの耳をくすぐる。
リヒ様の吐息は、薔薇の香りがした。
マキアはぞくっとして、耳を真っ赤にした。
「でもまだ足りないんだ。もっと食べたい…。」
マキアはリヒ様の香りに酔いそうになっていた。
「…で、ではキッチンに…残りのお菓子を持って…」
リヒ様はマキアの頬に手を添えてゆっくりと撫でた。
マキアの体はビクッと反応した。
「リヒ様……」
マキアが潤んだ瞳で見つめていると、
リヒ様はゆっくりと首筋に顔を埋め、フッと吐息をかけた。
「ひゃぁっ…」
「お菓子じゃなくて、君が食べたい。」
リヒ様の妖艶な美声に、
身体の奥が熱くなる。
リヒ様は左腕をマキアの腰に回し、
右手をうなじから後頭部に這わせて行った。
髪を軽く掴み、ゆっくり後ろに引く。
マキアの喉元を後ろに反らせ、
首筋に何度も口づけをした。
「あっ…あ…んっ…リヒ…さまっ…」
いやらしい水音だけが、マキアの耳元でこだまする。
「ねぇ……いいでしょ…?」
瞳が熱を帯びて細められ、ひときわ低い美声で囁かれる。
マキアは全身がじんじんと疼くような感覚に襲われた。
自分の心臓の音がうるさい。
リヒ様がゆっくりと口を開く。
「リ…ヒ…さまぁっ……あぅっ!」
一瞬の衝撃のあと痛みが走り、
そしてそれはすぐに快感に変った。
マキアの襟元が深紅に染まる。
マキアは快感に目を細め、
何度も溜め息を付いた。
「あっ…は…ん…はぁ……」
リヒ様は喉を鳴らして、マキアの血を飲んでいた。
右手は優しくマキアの後頭部を包み。
時折慈しむように撫でた。
マキアはこの時が一番心地良いと感じていた。
一瞬痛みはあるものの、すぐにそれは快感に変り、
やがて癒される様な心地よさに包まれて行く。
このままずっと血を吸われていたら、
気持ち良くて眠ってしまうかもしれない。
でも眠ってしまうほど吸われてしまったら、
それは死を意味するのだろうけれど。