ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第5章 白薔薇の砂糖漬け
リヒ様はおどけるようにウィンクした。
マキアは頬を膨らませたが、
すぐに不適な笑みを浮かべた。
「そんなことを言うと、
“マキア特製☆白薔薇の砂糖漬け”差し上げませんよ~?」
マキアは後ろに隠し持っていたガラスの瓶を取り出した。
「わぁ食べたい食べたい!
マキアの砂糖漬け久しぶり~!」
リヒ様は目をキラキラさせて喜んだ。
久々に見た、リヒ様の心からの笑顔。
マキアは嬉しくて、胸がキュンとした。
「そんなに一度に食べなくても、
まだありますからゆっくり召し上がってください。」
ポンポン口に放り込む姿が可愛くて、マキアも笑った。
ここの所お疲れのリヒ様を見て、
マキアは朝方までかけて作ったのだった。
自分にできることはこれくらいだけど、
薔薇にはバンパイアの体を滋養する効果がある。
マキアは少しでもリヒ様のために何かできた事が嬉しかった。
リヒ様は指に付いた砂糖を舐め取ると、
マキアの顔をじっと見つめた。
さっきまで子供の姿だったのに、
今は20代前半の様な美青年の姿になっていた。