ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第5章 白薔薇の砂糖漬け
リヒ様のご両親がお帰りになられてから2週間。
このところリヒ様は必要以上に外出はされず、
毎日届くラブレター(勧誘の手紙)に目を通していた。
その数があまりにも多かったため、
最近は特に疲労が出ていた。
溜め息をついたり、ぼーっと考え事をしたり。
口数も以前に比べて減っていた。
「…リヒ様?」
マキアは明日の会合の予定をお伝えしていたのだが、
リヒ様があまりにも無反応だったので、心配になった。
「…ん?あぁごめんね。ちゃんと聞いているよ。
時間が16時に変更になったんだね。」
リヒ様はヘラッと笑った。
「大丈夫ですか?このところお疲れのようですけど…。」
マキアは素直にリヒ様の体が心配だった。
自分には今バンパイア連合会や、社交界で起こっている事、
ましてや裏の世界でうごめいている事など想像もつかなかったけれども、
それのせいでリヒ様が大変な事に巻き込まれているのは感じていた。
マキアは身分上、詳しい事情を聞いたり、首を突っ込む事は出来ないけれど、
何か自分にできることで、リヒ様の力になりたかった。
「ありがと。大丈夫だよ。
あ…それとも最近かまってくれなくて寂しかったのかな?」