ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第4章 色男なパパと艶女なママ
「やだわぁ~キレやすい男って~。
そんなんじゃマキアの美味しいモノ♥
食べられないわよ~☆」
ローズレット様は輝くブロンドを片手でかきあげて、
妖艶に脚を組み直した。
「大丈夫?マキア。
息子に嫌気がさしたら、俺の所においで。」
アレイン様はにっこりと微笑むと、
マキアの顔を覗いた。
「君が感じた事のない悦楽と幸福を与えて上げるからね……」
右手を差し出し、美しい笑顔で囁く。
「は…はぁ…」
何だかポーッとして、
何も考えられなくなる。。。
目の前がゆっくりと桃色になっていく様な…
「ダメよアナタ!」
私はハッとして、立ち上がった。
「んもぅ。マキアにチャームをかけるなんて、ヒドい人!」
アレイン様はクスクスと笑った。
「フフフ、ごめんねマキア。
君があまりにも可愛くなってたから、
味見したくなっちゃってね☆」
マキアは真っ赤になって、冷や汗をかいた。
あれが“チャーム”!
なんか、なんか、
自分を手放すところだった。。。
アレ、本気でやられたら、
ホント“食べて下さいっ♥”ってなりそうだ。。。
マキアは心臓をバクバクさせた。
「そんな事、私が許さないよ。」
静かに怒りを溜めた目で、
リヒ様はアレイン様を睨みつけた。
「おぉ怖い。」
アレイン様はそんなものは意に介さない様子で、
おどけてみせた。
「ハァ…。マキアこっちにおいで、
好色と両刀の毒牙にかかりたくなかったからね。」
リヒ様は指を鳴らした。
落としたワインは元通りになり、
絨毯のシミも消えた。
「はっハイ!」
私は戻ったワインをお二人の前に丁寧に置いてから、
リヒ様の隣に立った。
「ここ。」
リヒ様は自分の横をポンポンと叩いた。
「えっ」
マキアは、ソファーに肘掛けて上目遣いに見上げるリヒ様を見つめた。
「命令。」
リヒ様は静かに言って、また自分の隣をポンポンした。
「失礼します。」
マキアはリヒ様の隣に静かに座った。
と、同時に、リヒ様に強く抱き寄せられた。